2012年10月29日月曜日

【MATECOレポート】 タイル工場見学会を終えて


少し(…大分)時間が空いてしまいましたが、6月23日・24日に実施しましたタイル工場見学会のレポート、間もなく完成です。11月2日(金)の第二回勉強会の参加者に配布の後、本blogにupしたいと思います。ご期待下さい。

以下MATECO代表田村・加藤の見学会を終えて、のテキストを先に掲載させて頂きます。
ぜひご高覧の上、2日の勉強会に向け想像を膨らませて頂きたく思います。

10月29日(月)現在、定員までまだ若干余裕があります。参加者は建築・土木デザイン・ランドスケープデザイン・ハウスメーカー・工務店・学生…と、様々な分野の方々です。素材と色彩はまちや空間を繋ぐ要素である、をモットーとするMATECOらしい勉強会になりそうです。
どうぞ宜しくお願い致します。→お申し込みはコチラ


●「選ぶ」から「つくる」へ
事務所の中には一体どれだけの数の「カタログ」が常備されているだろう。

設計の過程で素材を選ぶ時、ほとんどの場合、まず始めにすることは「本棚に並んだカタログの中から目当てのメーカーさんのものを引っ張り出し、ページをめくるか、またはもっと手っ取り早く、カタログさえ開かずインターネットでメーカーさんのサイトへ行き、例えば「用途別」「コスト別」検索をしてイメージや条件に合いそうなものを選び、サンプルを取り寄せる」、という行為から始まります。

事実、私自身もそうすることがあります。それでもカタログの場合はページをめくる間に、目当てのもの以外にも目が留まり、「こんなものがあるんだ」と発見するチャンスもありますが、ネット検索の場合はあまりにも直接的に諸条件にあったものが限定表示されるために、「発見する」機会さえありません。いつの間にかそんなシステムにすっかり慣れてしまって、「決める」という行為のほとんどが「選ぶ」に置き換えられてしまっているように感じることがあります。

焼きもの素材であるレンガやタイルの場合は、カタログには掲載され尽くせない数多くの選択肢があります。
事実、実際に工場に足を運んでみるとどうでしょう?そこにはカタログには掲載されていない形状、テクスチャー、色合いのものがたくさん溢れています。

本来、「ものづくり」とは、求める者と求められる者との間でイメージを共有し、アイディアや技術を出し合うことによって実現される行為です。そのためには互いに相手の言葉を理解し、最良のものを生み出す努力が必要であり、そうした過程を経て初めて設計者やデザイナーは最良の素材を選定することができ、工場は新たな素材を生み出すことができます。また、そこで得た経験と発見がお互いの財産となるのです。

その行為こそが設計者・デザイナーと産地との真のコラボレーションであり、コラボレーションの原点とは、「選ぶ」から「つくる」に返ることにあるのではないでしょうか。
                   
        マテリアルディレクター・田村 柚香里



●探究心が切開く未来
MATECO設立に向けて今年1月にしたためた企画書には、主な活動内容を

1.学生・ディベロッパー・建築設計事務所・行政景観担当等を対象としたセミナーの開催(年2~4回)
2.工場見学ツアーの開催(年1回~2回) ※まずはタイル。平成24年6月頃に実施したい。
3.素材・色彩に的を絞った設計者・デザイナーへのインタビュー(年4回~6回)→Blogで公開。
と記載しました。

昨年夏に田村さんと出逢った当初から、『この方の案内で工場見学が出来たらどんなに素晴らしいだろう』とずっと考えていた企画が今回現実のものとなり、多くの若い世代にタイルの魅力を“体験”してもらうことが出来たのではないかと思っています。
タイルという素材は加工品ですが、どんなに工場が機械化されても省くことの出来ない、人の目や手を必要とする工程があります。そうした判断・行為は製品カタログには記載されていませんし、メーカーの営業の方もいちいち説明はしてくれません。ともするとカタログは設計において単にスペックを検討するための道具として使われている例も少なくありません。

素材を知るために何より必要なのは、その成り立ちを理解することである、と考えています。そこには産地の歴史と現代が抱える課題、決して明るいとは言えない時代の中でなお、地域の産業を守るために既製の枠組みを超え力を合わせる次世代の奮闘・活躍など、圧倒的にリアルな現実がありました。

今回、参加者は実務経験が皆無・もしくは乏しい学生~20代が中心であり、正直、製品毎の特徴や専門的な技術を理解できるか等、少しの不安がありました。が、生産の現場を目にした彼ら・彼女らの目の輝き、次々と質問を繰り出し熱心に工場の方々と話をし写真を撮る様子を見、こうした物事に対する探究心こそが未知の・よりよい環境の創造の原動力であり、それを支える産業の力が不可欠であることを強く感じました。工場の様子をインドのスタジオ・ムンバイに例える人が多くいたことにも、これからの環境・空間づくりの大きなヒントがあるような気がしています。

最後になりますが、共同組合ケーエスジーの谷口様を初め、ご尽力頂きました各工場の皆様方には心よりお礼を申し上げると共に、近い将来、見学会参加者と産地の方々がタイルという素材を介し創造の場で出逢えることを心から願います。そして自身もまた、愛着のあるタイルという素材と末永く向き合っていきたいと思います。
ご協力頂きました皆様、本当にありがとうございました。

色彩計画家・加藤幸枝

0 件のコメント:

コメントを投稿