ラベル 環境色彩 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 環境色彩 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年4月11日木曜日

第一回ワークショップ『まちの色を測る』 参加募集のお知らせ


素材色彩研究会MATECO1回目のWSは『まちの色を測る』がテーマです。
「色のものさし」であるマンセル表色系を活用した色見本帳を用いての色彩調査・分析方法は、景観計画における色彩基準の策定や運用等に広く用いられ、客観的・科学的な検証や秩序ある色彩選定方法の構築に役立てられています。

色を数値化し複数のデータを集計することにより、通りや地域が持っている「色彩的な特徴・傾向」を読み解く方法を実際に体験し、データの読み取り方や検証の仕方を考えるWSです。
今回のWSでは単に色を測るという行為のみだけでなく、数値から何を読み解き、その地域での計画にどういった点を反映させるべきか、という分析・検証がセットになっていますので、建築・土木・ランドスケープ・インダストリアル…等の設計・デザインに関られる方々に、ぜひご参加頂きたいと思います。

市販の色見本帳を用いた視感測色の方法やコツが体験できるWSです

測色値の集計方法を体験し、数値からまちの色を読み解く方法を体験して頂きます
尚、このWSの調査・集計結果はNPO法人GSデザイン会議が発行するフリーペーパー第二号に掲載されるG-SampoMAPのデータとして活用します。
様々な要素・分野をつなぐ素材や色彩を切り口から、『Ground Scape』を体験して頂きたいと思います。

●対象:環境を取り巻く様々な素材・色彩に興味のある学生及び社会人若手
●対象エリア:東京都千代田区神田の書店街
主に外装基調色・舗装・ストリートファニチャー・屋外広告物の測色を行います。タイル等の素材色は測色が多少難しいのですが、その測り方や素材の見方のコツなども交え、測色方法を体験して頂きます。
測色に必要な色見本帳はこちらで用意しますが、筆記用具・カメラはご持参下さい。
※メモ紙を挟んだA5サイズのクリップボードがあると便利です。
●定員:先着12名
※定員以上のお申し込みを頂きましたので、4/14、いったん締め切らせて頂きます。
●日時:2013420日(土) 10001500終了予定 ※荒天中止
●内容:
10001130  対象エリアの測色 ※神保町駅集合
11301230  神田で昼食(神田の老舗・カレーのエチオピアやてんぷらのいもや等)
1300~      本郷幸伸ビルGroundScape Knotに移動 
           測色結果の集計と分析方法のスタディ
           (環境色彩デザイン事務所CLIMATスタッフによる指導) 
●参加費:無料(昼食代及び移動の交通費は各自負担)
●申し込み先:100mateco(アットマーク)gmail.com
お名前・連絡先・所属をご記名のメールをお送り下さい。 

MATECO代表 加藤幸枝・田村柚香里

2012年6月3日日曜日

第一回勉強会を終えて -その2


先日アップしましたその1に続き、特に後半の意見交換の部分について、概要を記しておきます。
その1でご紹介したのは、環境色彩デザイン事務所CLIMATからの話題提供の部分です。後半では具体的事例をいくつか挙げ、色彩計画の役割やその職能が求められる場面についての紹介、その後は参加して下さった皆さんと自由に意見交換をしましたので、その模様をまとめてみました。ご照覧の上、ご意見・ご感想等頂けますと幸いに存じます。

来る6月は23日(土)・24日(日)にこちらも第一回目のタイル工場見学会を予定しております(※募集要項は近日中にアップします)。座学により思考を鍛える時間、モノづくりの現場で体感する時間。今後もその両方を行き来しながら、素材と色彩の決定論やモノづくりのテクニカルな側面からのアプローチの探究など、MATECOならではの活動を続けていきたいと思います。

201263日 MATECO代表 加藤幸枝

環境色彩デザイン事務所CLIMATからの話題提供(概要)

●環境色彩計画の事例から
事例1.狭山市駅西口市街地再開発事業~色彩ガイドライン作成及びデザイン調整会議事務局としての活動
本計画は駅前広場・デッキ・商業棟・公益施設棟・住宅棟・バス、タクシープール等、様々な機能が集積する駅前再開発における色彩の調整業務である。まちづくりや各設計の方針及び周辺環境に沿い、各施設が使用できる色彩の範囲を絞り込むという手法は、通常の業務と際は無いが、長期にわたる計画の実施段階において、各設計者の意向や現場を確認しながらデザイン調整会議というプロセスを介し、“最終決定を承認し、次や隣接する計画へ反映させる”ことを行った。

 CLIMATは全体のルールづくりに係わりながら、その運営が意図や方針が正しく理解さているか、そして続く計画がまた、それまでの蓄積を引き継ぐことのできる体制が整っているか、という調整業務に係わった。
このような業務では私達が何物をも決める権限は持っていないが、決定がなされる際のジャッジが有益かということに対し必要な調整事項や改善点を見極め、各機関をつないでいくという役割を担った。

事例2.みさと団地外壁修繕色彩計画~最小限の色数による多様性を表現するためのシステム
みさと団地は埼玉県三郷市にある大規模住宅団地である。2007年頃より大規模な修繕が街区単位で進められてきた。こうした大規模団地はこれまで、部分的な修繕の度に都度単体として外装色彩を検討し、多くは既存の環境と同色が採用されることが多くあった。私達は本業務において街区全体やまちづくりの方針等を鑑み、総合的に全体の整備方針及び計画を立てておくことにより、後から行われる修繕がちぐはぐなものとならないような計画を実践した(発注時、修繕の対象となっている住棟以外にも展開出来るカラーシステムを提案した)。

ここで試みたのは最少の色数で最大の変化を出す、という方法論である。複雑なシステムは使いづらく、長持ちしない。一つの街区(10数棟の住棟からなる)に使用する色は色相を揃えた5色とし、基調色の濃淡を反転させる等の工夫によりアイレベルにおける変化の形成に役立てている。団地全体で10の街区に対して3つの色相(×5色=全体で15色)を用意し、隣りあう街区が同じ色相にならないよう配慮すると共に、濃淡の対比により全体の統一感と適度な変化のバランスと維持している。

事例3.アリオ亀有外装色彩計画~賑わいと適度な変化
ここではプレゼンテーション時以外は人の目に触れることのない、実現しなかった案についての紹介を行った。私達は多くの場合、提案時に23つの案を作成し、プレゼンテーションに臨む。ある範囲までは徹底的に理詰めで方向性を導き出すが、そのギリギリのところの解釈や形態との関係による新しい可能性の追求など、その表現には毎回、様々な幅がある。依頼を受けてデザイン提案するという業務において、施主が満足する様な案を提案することは重要だが、予想を超える解釈やビジョンを示すこともデザイナーに求められる職能の一つであるように考えている。

いたずらに目新しさがあればよい、というものではもちろんなく、最終的な決定案の責任は持ちつつ、選定のプロセスにおいては施主や設計者を積極的に巻き込む(良い意味で)ことにより、建築や工作物が担う公共性の在り方を常に広く議論していきたいと考えている。

事例4.大規模集合住宅の基本設計・実施設計・管理~関係者間で意識を共有するためのデザイン
現在建設中の大規模集合住宅の素材・色彩検討。業務の重要な部分が選定・決定であることは間違いないが、計画が長期に渡り、係わる関係者が多くいる場合は個々のデザインがなぜ・どのような方針で形づくられてきたか、ということを明確にしておく必要があると考えている。

この計画では幸い、建築の基本設計段階から参画することが出来たため、当初からプロジェクトのロゴマークを(勝手に)つくりプレゼンテーションの度に展開、また都度の提案がコンセプトに基づいたものであり、だからこのような素材・色彩がふさわしいのだ、というややしつこい程の反復をほぼ2年、積み上げてきた。結果、販売パンフレット等も設計者・デザイナーの意図から大きく外れることもなくビジュアル展開がなされ、当初は契約の範囲に無かった共用部の家具やアートの選定にまで係わることになった。
そうした全てのプロセスに係わることで、何よりエンドユーザー、そして地域の人々に対しても祖語のない計画が進められたのではないか、と考えている。

以下、意見交換の内容より(概要)

●自然との関係、という時、緑等植物の色も(測色の)対象とするのか
常に、というわけではないが、何か特徴的な要素である場合は測色を行うし、常緑樹と落葉樹の色彩の変化の様子など、一定のデータは持っている。計画においては周辺の自然を生かすために、という視点があり、例えば緑が持つ彩度の変化(36程度)を建築の基調色はなるべく越えるべきではない、等の指針として役立てている。

植物の色を生かすと言っても植物の色そのものを再現することでなはく、人工物は四季折々に変化する姿をより印象的に感じられるためにどうあるべきか、ということを考えている。

●橋梁等の構造物と色の関係はやはり難しい、色を『つける』という感覚から逃れならない気がする
構造物の色彩設計は難しく、基本的には本体を、ストラクチャーとしてどう美しく見せるか、という点が最も重要だと思う。となると、照明計画との係わりも重要であり、その演出が効果的なのも構造物の特徴であると考えている。

しかしながら環境色彩という立場でいくと、例えば同じ構造でも設置される場所(周辺環境や背景)によって異なる色彩になることは充分に考えられ、設計者の立場を越えて、場ごとの判断という視点が必要になってくるのではないだろうか。

●何となく決めた色は、良くないのか?何となく決めるのでは、いけないのか?
普段何となく色を決めていると思っていても、そこには何がしかの必然性があるような気がしている。(質疑で挙げられた例でいくと)無意識のうちの映えるべき・馴染ませるべき、ということをある程度は経験から判断しているように見受けられる。それを論理的に構築し、広く理解を得られるよう言語化するためには、やはりある程度、色彩学の知識を必要とする。

何となく決めて皆がいいと言ってくれる、という状況は極めて理想的であると思うが、今後も特に行政や市民が多く係わる計画では、多くの人に共感を得られる“選定の理由”が必要となるし、例えこじつけでもある程度のわかりやすさは必要なのではないか。特に地域の新しいシンボルとなるような存在であれば尚更、ストーリーが明確であった方がより親しみを感じやすく、永く愛着の湧く対象として受け入れられやすいように思う。


おわりに
意見交換は質疑から発展した部分も多くあったため、抜き出して記述するには難しい点があり、今回は上記概要として留めさせて頂きます(前後の文脈ごと記載しないとわかりづらいので)。
参加して下さった方々からは靄が晴れたようですっきりした、益々わからなくなってきた…等のご意見を頂き、今後は個別のテーマ(分野)毎にも掘り下げが必要だなと感じました。
また、モノをつくることを専門とすることと、イロを扱うことを専門とすることの違いについて、もっと議論がしたいというご感想もありました。私自身はモノをつくっているという感覚は申し訳ない程に希薄で、(素材・)色彩が形態やその場の環境と一体となって織り成し、眼前に現れる現象を操作しているにすぎない、と常々考えています。だからこそ、単体としての善し悪し以上にその場においてどのように見えるか、ということについてはこれからも拘っていきたいと思っています。
色を扱うことを専門する立場から、モノづくりに携わる設計者に向けて果たして何が出来るのか、すべきなのか。たくさんの宿題を頂いた勉強会でした。

2012年5月25日金曜日

第一回勉強会を終えて -その1

2012512日(土)に実施しました素材色彩研究会・MATECOの第一回勉強会について、全体の流れと意見交換のことを記しておこうと思います。
421日(土)に実施しました『十人素色-決定の論理-』では、建築・土木デザイン・ランドスケープデザイン等、様々な専門分野の方々にお集まり頂き、素材や色彩を決定する際の論理について語って頂きました。

今回の勉強会では環境色彩デザイン事務所・CLIMATの仕事から『どのように素材や色彩を選定して行くか』という、決定以前の提案のプロセスやヴァリエーションのつくり方、そしてその考え方の基盤となる色彩学の基礎がなぜ必要か等のテーマを挙げ、環境色彩デザイン事務所・CLIMATのスタッフが事例等を紹介、参加して下さった皆さんの質問に答えつつ議論を深めていく、という形式で進行しました。

以下にまとめその1として、話題提供させて頂いた項目を整理してみました。終えてみてしみじみ感じたのは、一回の議論で結論が出せる・明確にできる訳ではもちろんなく、体験と共により深めていかなければならない部分が数多くある、ということでした。次回以降はもう少し的を絞りつつ視点を拡げ、素材・色彩の選定の論理や次の可能性について検証を重ねていきたいと思っています。
後半の具体的事例にみる色彩計画の役割と後半議論になったポイントについても、その2として順次公開していきます。第二回の勉強会に向けより深度のある議論のために、是非ご意見・ご感想を頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

2012525日 MATECO代表 加藤幸枝


会場の様子

参加者して下さった皆さんには自己紹介と共に、素材や色彩との係わりを語って頂きました

環境色彩デザイン事務所CLIMATからの話題提供(概要)

●はじめに~色彩学とは?
色彩学は様々な他の学問と多様な係わりを持っている。調査・研究の対象であり、表現・演出・創造の基盤、社会現象(流行)・文化・歴史の検証にも重要な役割を果たす。応用される分野も多岐に渡り、光学・教育・芸術・生産・管理・デザイン(Web・グラフィック・ファッション・プロダクト・インダストリアル・建築・インテリア)…と、実に多様で分野ごとに必要な知識や技能・技術が細分化されている。例えば自動車のカラーデザインは流行色や塗装技術の開発・普及(粉体塗装・偏光メタリック)等と密接な係わりを持ち、独自に色彩デザインの方法論や技術開発が探究されてきた分野の一つである(カラーデザインが専門職として独立している)。

またカラーコーディネートという概念はこれまで、ファッションや商品開発・インテリアデザイン等、パーソナルな範疇での提案とその充実に重きが置かれてきた。カラーコーディネートという手法は個の・私的な満足度を、あるいは顧客・消費者に対する訴求力を高めるための手段という意味合いが強かったが、昨今は群におけるまとまりと変化の形成や分野間をつなぐ役割としてその効能が認知されつつあると感じている。

建築・都市・土木デザイン等の分野に関しては、色彩学の社会学・美学・化学・心理学・生理学等が相互に影響し合い、それぞれに深い係わり持つと考えられるが、設計行為のための相対的な教育としての取り組みは殆ど行われていないのが実情ではないだろうか。
色が持つ構造や基本的な特性を理解すること、効果を知って“より適切な”選定を行うこと。素材色彩研究会MATECOではそのために必要な経験の共有を目指し、定期的に勉強会や見学会を企画していく。

●比較・検証・選定の拠り所となる色のものさしについて
空間の成り立ちにふさわしい適正な寸法があるように、色も表色系(カラーモデル)を用いて数値化し、共通のものさしとして客観的に表すことが可能である。アメリカの画家Albert.H.Muncell18581918)創案したマンセル表色系は、1943年にアメリカ光学会に修正マンセルとして発表され、測色管理に適したシステムとして日本でもJISに採用されている。

マンセル表色系では色を色相(いろあい)・明度(あかるさ)・彩度(あざやかさ)という3つの属性に分解し、1色を表す。JIS標準色票に記載されているのは2163色だが、ヒトは少しの訓練で約700万色を見分けることが可能な能力を持っている。色数は無限である、とはよく言われることだが、700万色という数字を眼前にすると0.51.0刻みのマンセル色票集が実は非常に大まかなスケールであるということが実感できる。

だが建築でしばしば用いられる身体性という問題に色彩をあてはめてみると、色という時間や照明条件等により刻々と変化する現象を例えば小数点以下2ケタの単位で捉えることに(日常生活においては)殆ど意味は無い。空間を体感する際のスケール感と同様に、色のスケールにも身体感覚との適・不適があり、当然個人差も生じる。

数値はあくまで表記・伝達・管理のための手段であり、分野により必要な精度や厳密さの幅を踏まえつつ、都度ふさわしいものさしを用いればよいと考えている。建築や土木デザイン等が扱う規模に対しては、マンセル表色系が持つ40色相の明度・彩度が色の基本的な構造である、ということが理解出来ていれば充分ではないだろうか。

●色彩調査のデータから何が導き出せるのか?
私達はどのような場合においても、対象となる場周辺の色彩調査を行うことを基本としているが、そのデータから何を読みとるのか、と聞かれることが多くある(勉強会でも同様の質問を頂いた)。環境色彩調査は対象物(建物の外壁や屋根等)から色を数値化して読み取り、その環境が持っている色彩構造を明らかにすることが目的である。

例えば基調色が暖色系の高明度・低彩度でまとまっているという傾向が読み取れれば、それがその地域の基調としてまとまりや連続性を保持している、と考えることができる(但し、形態や素材の差異によってそのようには感じられないこともしばしば)。仮に測色値の集計に一定の傾向が見られない場合でも、規則性が無い・多色が使われているという結果を得ることができる。それらの現地の・現況が持つ色彩の特性から、新しく付加するものが“どのようにあるべきか”というストーリーを組み立てていくのである。

昨年GSDyのサロンでもお話したことだが、私達は行けるところまでは徹底的に理詰めで考える。(景観計画等の)上位計画・周辺環境が持つ色彩やその特徴・(建築物であれば)建築設計者の設計方針、デザイン意図・用途の特性・コスト…。そうした余条件はいわばフィルターであり、無限にある色を幾重ものフィルターでろ過していくことによって、適正な素材・色彩を導き出すということを考えている。

●景観法に基づく色彩の規制とその実効性
平成16年に策定された景観法は色彩を数値で規制する、という明確な(※厳密には明確にはしづらいものの)基準を設けたことにより、著しく景観を阻害する要因となる派手な色・圧迫感の強い低明度色を出現させないことに対して一定の効果を挙げている。いわゆる騒色(そうしょく)を取り除くためのネガティブ・チェックとしての機能である。

ところが実際に運用していくと基準内の色を使っているが良好な景観とは言い難い例や、周辺との関係で考えると基準を超えてしまうが景観の阻害要因とまでは言えないのでは、という例が続々と出現することも明らかになってきた。各自治体が策定している色彩基準の殆どは、現況調査に基づき概ね8割以上が適合する数値基準を採用しており、積極的に良好な景観を形成していくためには景観形成基準の意図するところを丁寧に読み解き、建築の規模・形態・意匠に沿った素材・色彩を創造的に検討・展開するための“配慮や工夫”が求められている。

この配慮・工夫は決して行政指導に対する対抗策ではなく、その地にあるべき姿を設計者の立場からはもちろんのこと、市民とそのまちの将来を担う“良好な環境の創造”に大きく寄与するものであり、そうした多角的な配慮による成果(=新しい計画によって形成された良好なまちなみ)が事業者にとっても有益に働くことを証明するための作業でもある。

●なぜ選定に理由が必要なのか?
先に述べたように、建築設計を例に挙げてみても多様な視点からの評価点(基準)があり、多くの関係者の利害(金銭的な意味だけでなく)に係わる計画には、当然のことながら説明責任が生じる。また、計画を進める段階においても規模が大きくなるほど、あるいは公共の施設や再開発など長期に渡り多くの機関との調整が必要となる場合には、なぜその素材・色彩がふさわしいのかということを出来るだけ明確にするべきであると考えている。

様々な余条件の検証から導き出すという方法論は、一個人が嗜好やその場の雰囲気によって決めたことよりも明らかに説得力を持ち、地域や場が持つ特性を強化したり尊重したりする姿勢は多くの市民から共感を得られやすい。
私達の暮らしを取り巻く環境には新しい創造は不可欠であるが、それが創造という名の元に一般には受け入れがたい、あるいは地域の現況を無視した特異なもの・主張すべきものであるべきかどうかは慎重に判断しなければならない。環境を取り巻く素材や色彩は視覚に大きな影響を与えるが、それに囚われ過ぎると地域やその環境が持つ文脈、対象の規模や形態等から剥離し違和を感じさせる要因となりがちである。

選定の理由を揺るぎなく整えることにより、時代性・環境性・美観性・耐久性・意匠性・歴史性…といった様々な視点をバランスよくより高い次元で満足させることが可能なのではないかということを考え、実践し続けている。

<つづく>

2012年4月17日火曜日

勉強会参加募集のお知らせ


MATECO第一回勉強会は素材や色彩の『選定』方法について、参加者と共に考える会にしたいと思います。

●第一回勉強会テーマ 『環境色彩デザイン-選定の論理-』
色彩はとかく嗜好や感性の範疇としてとらえられがちですが、環境色彩デザインという専門分野においては色彩学の基本的な理論を活用し、周辺環境との良好な関係性の構築及び対象物の規模や用途・目的にふさわしい色彩デザインが実践されています。

その環境色彩デザインを専門とするカラープランニングコーポレーション・CLIMATは、一般的なカラーコーディネートに留まらず、環境・空間全体の総合的なデザインコントロールや他の専門分野間の調整等を得意としています。またまちなみ形成の基盤となる景観ガイドラインの策定を始め、大規模再開発や商業施設・住宅、屋外環境を構成するストリートファニチャーから屋外広告物に至るまで、あらゆるものを計画対象とし、屋外環境のみならずインテリアやグラフィック・デザイン等も手掛けています。

第一回目の勉強会ではカラープランニングコーポレーション・CLIMATのスタッフがレクチャー及び進行役を務めます。実際のプロジェクト事例を題材に、選定の指針・方針となり得る条件整理の方法や、修景から演出・創造に至るまで、幅広く分野を包括する環境色彩デザインの考え方を検証・議論していきたいと思います。

またその考え方の基盤となる色彩学の基礎知識についてもご紹介し、参加して下さる方々の専門に併せた資料や勉強法などもお伝えしていきたいと考えています。
素材・色彩の選定にご興味のある方、是非ご参加下さい。

  
●講師:加藤幸枝依田彩片岡照博(カラープランニングコーポレーション・CLIMAT
●日時:2012512日(土) 13301600
●参加費:500円(お茶代)
●場所:アトリエ品品(Workvisions併設のレンタルスペース)
     〒140-0002 東京都品川区東品川1-5-10 丸長倉庫B
●連絡先(事前):代表・加藤幸枝/ykatoykato(アットマーク)gmail.com
●連絡先(当日):お申込みの際、ご連絡します。
●申し込み:100mateco(アットマーク)gmail.com 宛に、
        氏名・年齢・連絡先・所属をご記入の上、メールにてお申し込み下さい。

2012.04.16
MATECO代表・加藤幸枝/田村柚香里